◇乳腺腫瘍とは?
 
  ・乳腺腫瘍の原因は不明。
  ・犬の乳腺腫瘍において,ウィルス様粒子が確認されてはいるが,原因である可能性は低い。
  ・犬の乳癌の約50%には,エストロゲンの受容器(体が外界からの刺激及び体内で生じる刺激を受け入れる器官)が存在する。
  ・良性の乳腺腫瘍の犬では,その後に異なった細胞型の悪性乳腺腫瘍が発現する危険度は3倍以上ある。
  ・犬の乳腺腫瘍の約50%は,悪性である。
  ・6歳以上の犬に乳腺腫瘍の発現の危険性が著しく高くなる。
  ・尾側乳腺に乳腺腫瘍の発生が高頻度で起こる。
  ・腫瘍は小さく可動性,葉状で硬固,体壁に固着し,潰瘍性(発見した時期にもよる)。
  ・炎症性乳癌の犬は,乳腺炎と誤解されやすい。 
  ・腋窩及び鼠径リンパ節が腫大する事もある。
  ・骨への転移率は低い。
  ・犬の悪性乳腺腫瘍の25〜50%は,手術以前に転移がみられる。(胸部X線検査によって,判明)
  ・尾側乳腺に浸潤がみられる場合は,腹部X線検査を行う
      (腰下リンパ節を評価する為,時には,超音波検査も行う))。
 
        犬の乳腺腫瘍に最も有効な外科手術は明らかにはされていない。
  
           例:根治的手術 VS 単一乳腺切除
        
  
       ◇予後は?
  ・文献によって様々な報告があるので,乳腺腫瘍の治療に関する情報は難しい。
  ・初期の犬の乳癌の診断後平均生存期間は,4〜11ヶ月。
  ・手術後2年以内に腫瘍の影響で75%の症例が死亡。または,安楽死との報告。
  ・非転移例の切除後癌死亡率は27%,ほとんどの癌死は術後1年以内に発生する。                               
  ・浸潤性の癌や遠隔転移を伴った犬の癌死亡率は80%。
  ・犬の浸潤癌症例の再発率(44%)は,良性及び非浸潤癌症例(12%)より,高い。
  ・腫瘍直径が3cm以下の犬では,それ以上のものよりも予後が良い。
  ・腫瘍の個数と予後の関連はみられない。
  ・乳腺の肉腫と炎症性乳癌の予後は極めて悪い。
  
 
       ◇予防は?
  ・初回発情前に避妊手術を行う事によって,乳腺腫瘍の発生危険率は,ほぼ完全に消失する。
  ・卵巣子宮切除術を第4または,2,5歳以下で行う事によって,乳腺腫瘍の発現危険度は減少する。                                                     
 
参考文献  サウンダース小動物臨床manual 
 

    Salbiaの掛かり付けの獣医師との乳腺腫瘍についての会話からも,飼い主さんが病院へ診察に連れてくる事の
遅れが,術後の予後の悪さに現われていると考えられます。大事なパートナー,長い間の生活を共にし,また,
悲しい時,辛い時に慰めとなり,励ましとなってくれた犬達です。同じ生きる命であるなら,
少しでも健康で元気である為にも,犬達が5歳を過ぎれば,どのような病気に罹患しやすくなるのか,
飼い主が仔を愛する親の心となって,体の異変を感じたときには,まずは一番に獣医師の診察を受けて見られる事を,
お勧めいたします。 

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