◇門脈体循環シャントとは?
 

門脈は胃,腸,脾臓,膵臓からの血液を集めて肝臓に流入している血管で,
正常では腸管から栄養素と一緒に吸収されたアンモニアや細菌の毒素は,
この門脈から肝臓に入って無毒化されています。
肝臓は命の維持に不可欠な様々な働きがあるのですが,
有害物質の無毒化という重要な役割もあります。
シャントとは「短絡」という事で通常は,
腸管から多くのの栄養素を含んだ血液を運ぶ血管(門脈)は肝臓に集まり,
此処から後大静脈を経て心臓に入ります。
肝臓は門脈に含まれる成分を蓄積したり,または分解,作り替え等をしています。

  シャントとは,短絡,近道という意味で門脈と全身にいく血管の間に
先天的または後天的に出来た近道の血管の事で門脈が直接,
後大静脈に入ってしまって本来体には流れてはいけない物質
(アンモニア,細菌)が,体内に流れてしまう結果となってしまうのです。
食事をすると大量のアンモニアが門脈より吸収されて本来なら
肝臓で毒性のない状態にしてから体内に流れる事になるのですが,
門脈シャントがある動物は直接アンモニアが体中を回ってしまうのです。
血中のアンモニアの増加は脳に悪影響をあたえて,
意識障害や痙攣や昏睡といった脳神経に異常を起します。


       ◇肝性脳症とは?
  ・一般には肝不全で惹起される脳障害を意味するが,
肝と脳の障害が同時に進行する疾患(肝脳疾患)も含まれる.
    肝脳疾患には特殊型として猪瀬型(→肝脳疾患特殊型),
類瘢痕脳型などや,遺伝性の銅代謝異常によって肝硬変,錐体外路症状,
カイザー・フライシャー角膜輪を呈するウィルソン病も含まれる.肝不全や特殊型では
門脈系に側副路の形成がみられ,血中のアンモニア値が高くなる.
特殊型は意識障害の発作を繰り返して徐々に錐体外路系の症状,性格変化,痴呆をきたす.
肝不全による精神神経症状は肝性昏睡ともいわれ,初期には
指南力,注意力,集中力の低下がみられ,進行すると意識が混濁し昏睡に至る.
末期には上肢に振戦や羽ばたき様の不随意運動(羽ばたき振戦)がみられる.
脳波では三相波という周期性同期性の特徴的な波形が出現する.
肝性昏睡と肝脳疾患は明確に区別できないことがある.
肝性昏睡では大脳に粗大な病変を認めないことが多いが,肝脳疾患の特殊型では
大脳皮質に海綿状態や不全軟化巣がみられ,アルツハイマーII型グリアが多数出現し,
その核内にグリコーゲン顆粒の集塊をみる.近年この特殊型はきわめて少なくなっている.
肝性脳症では高アンモニア血症や脂肪酸,アミノ酸の異常などが指摘されているが,
その本態や病因はよくわかっていない. 

         ◇肝性脳症の薬物療法
  ・PSSの犬と猫における薬物療法は一時的なものであり,主として肝性脳症の抑制を目的とされる。
  ・外科的治療が困難な場合,あるいは飼い主が外科的治療を辞退した場合には,
    長期的薬物療法により2〜3年は臨床徴候を制御できる事がある。
  ・PSSの薬物療法によっては,肝萎縮の進行を止めたり,
     炭水化物,脂肪,蛋白質代謝を変化させる事は出来ない。
       ◇合併症は?
  ・合併症から回復する見込みは少ない。                                                  
 

 ◇ 神経症状  ◇ 身体的症状
  ◇薬物不耐性
・ 食後の症状発現   ・ 小さな体格 ・バルビツール:覚醒が遅延
・ 消化管出血  ・ 体重減少 ・麻薬
・ 感染そして発熱 ・ 小さな肝臓 ・ベンゾジアゼピン
・ 嗜眠 ・ 大きな腎臓 ・メトロニダゾール
・ 無反応性 ・ 銅色の瞳 ・テトラサイクリン
・ 訓練困難 ・ 流涎症(特に猫) ・麻酔薬
・ 無目的名歩行 ・ 嘔吐 ・フェノチアジン
・ 円運動 ・ 下痢 ・抗ヒスタミン
・ 頭部の押し付け
・ 便秘(肝性脳症を悪化させる。)
・メチオニン
・ 幻覚
・ 食欲不振     ◇性格の変化
・ 頭を下げるポーズ
・ 多食:異物の摂取 ・攻撃性
・ 黒内症性盲目症
・ 多飲多尿 ・狂騒的な吠え
・ 運動失調 ・ 発熱:間欠的
・ 虚脱
・ 尿酸アンモニア結晶の尿中への排泄
  (50%のPSSで検出):血尿,尿閉,頻尿 
・ 混迷
・ てんかん発作
・ 昏睡  


        

         動物が術後期を生き延びる事が出来れば,予後は良好となる。
       多くの動物は肝機能検査は完全に正常ではないが,改善され臨床的には正常となる。 


       参考文献  サウンダース小動物臨床manual
                 イラストでみる 犬の病気
                  surgeon 23     

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