☆進行性網膜萎縮     
  進行性網膜萎縮は,桿体または錐体の変性,異形成により網膜が変性する遺伝性疾患である。
実際には萎縮ではなく変性であり,最近ではGen-eralized progressive retinaldegeneration(GPRD)
と呼ばれている。SlatterはこれをPro-grssive retinal degeneratio n,Type-1と分類している。
    ◇発現時期および進行速度
  1,早期発現し,急速な進行(発現から失明まで1歳齡未満)コリー,アイリッシュ・セッター,
         カーディガン・ウェルシュコーギー,
  2,早期発現し,ゆっくり進行(発現は1歳齡未満,失明は1年以上経過)ミニチュア・シュナウザー,
            ノルウェイジャン・エルクハウンド,
  3,遅く発現し,ゆっくり進行(2歳齡以降に発現,4歳齡以上で失明)アフガン・ハウンド,
           ボーダー・コリー,コッカ-・スパニエル,
    (イングリッシュ&アメリカン)コリー,ダックスフント,イングリッシュ・スプリンガ-,ゴードン・セッター,
    ラブラドール・レトリーバー,ミニチュア&トイ・プードル,サルーキー,サモエード,シェットランド・シープドッグ
   ◇病因
1,酸素活性化因子の欠如によりサイクリック(GMP)の増加
2,桿錐細胞異形成
3,錐体細胞異形成
4,桿錐細胞変性
  ミニチュア&トイ・プードル
 
     ☆ホルネル症候群   
  瞳孔散大筋は交感神経の支配を受けており交感神経に障害が起こると患眼は縮瞳する。
交感神経は眼窩筋膜,瞬膜を含む眼瞼平滑筋も支配しており,この神経の障害は縮瞳,眼窩周囲の
緊張低下による眼球の退行(眼球陥没),眼瞼裂の狭窄(眼瞼下垂)瞬膜突出などが認められる。
この一群の徴候をホルネル症候群と呼ぶ。多くは片眼性であるが両眼性の事もあり,通常視覚障害は伴わない。
  ◇病因
1,外傷,腫瘍,感染による頸部交感神経幹の損傷
2,中耳炎または内耳炎
3,外科手術
4,脳疾患
5,特発性
 
     ☆コリー眼異常    
  コリー眼異常は,常染色体劣性遺伝性疾患で,強膜と脈絡膜に異常が発現する。
好発犬種:
  ・コリー種
  ・シェットランド・シープドッグ
   
    ☆眼球脱出   
  眼球が眼窩外へ脱出した状態を指す。頭部に加わった鈍性外傷や咬傷などによるものが多い。
短頭種ではわずかな外傷でも発生しやすい傾向にある。                   
 
     ☆眼の腫瘍  
  眼球は,眼付属噐及び眼窩にみられる新生物をいう。視覚系は精巧であり,また中枢神経系に接して
いるので,組織学的あるいは生物学的性状が良性な腫瘍でも,浸潤すると重大な視覚障害を起こしやすい。
   ◇眼瞼の腫瘍    
1,犬に良く認められる眼の腫瘍である。皮脂腺腫,皮脂腺癌,組織球腫,肥満細胞腫,
  メラノーマおよび基底細胞癌などがある。癌瞼腫瘍の多くは良性であり,悪性腫瘍は10%以下と
    報告されている。
2,臨床症状は,腫瘍が眼球に接触する場合には流涙,眼瞼痙攣などを示す。
   ◇結膜及び瞬膜の腫瘍  
1,報告されている腫瘍は,メラノーマ,腺腫,腺癌,線維肉腫,扁平上皮癌,血管腫,血管肉腫,
      乳頭腫などである。
2,腫瘍が摩擦刺激または兎眼を起すほど発育しない限り臨床症状を伴わない事が多い。
     ◇メラノーマ      
1,メラニン細胞由来の腫瘍で,眼球内で発生するタイプと眼瞼縁近くの強膜に発生するタイプがある。
2,眼瞼縁周囲の強膜に発生するメラノーマは,発育はゆっくりで,色素に富み,限界
     明瞭な隆起した腫瘤として観察される。転移は認められない。
3,眼球内メラノーマは前ブドウ膜の疾患で組織学的に良性と悪性に分類される。
    どちらのタイプでも,眼球内メラノーマは破壊的であり,眼球内浸潤性が強い。
   また,脈絡から発生するメラノーマも少ないが報告されている。
     ◇毛様体上皮に由来する腫瘍 
1,毛様体上皮腫瘍はまれな疾患であり,腺腫と腺癌に分類される。腫瘍は限界明瞭で,
       柔らかな多結節性の腫瘤である。
2,腫瘍が成長し,瞳孔領から突出する。疼痛,緑内障,前房出血などがみられる場合がある。        
    ☆視神経及び癌窩の腫瘍   
1,髄膜腫,神経膠腫,神経線維腫,骨肉腫,肥満細胞腫,扁平上皮癌,鼻や涙腺の腺癌及びリンパ腫
        などがある。
2,視神経の腫瘍はまれであるが,散瞳,視神経萎縮,眼球突出,網膜浮腫などが認められる。
3,眼窩内腫瘍では,眼球突出,兎眼,網膜剥離,眼球運動障害,散瞳などが認められる。    
 

      
 犬の診療最前線・interzoo より 

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