☆股形成不全   
  股関節の発育不全で,若齡期の股関節の緩みにより成長と共に大腿骨頭の扁平化や寛骨臼が
浅くなり,大腿骨頭の亜脱臼や完全脱臼を起こす。さらに変性性関節炎が起こる。ほとんどの犬種に
みられるが大型の重量犬で高率に発生する。股形成障害・股異形成も同意語。
   ◇原因
 遺伝的素因の関与は広く認められているが,現在のところ遺伝子発現機序,病因について十分には
解明されていない。以下のようなものが発症の因子として考えられている。
   1,急速な発育と体重増加:骨盤部筋肉の発育が骨の成長より遅れる事により股関節の不安定が起こる。
   2,ホルモンの異常:エストロゲン代謝不均衡による骨盤部筋力の不足。
   3,先天的な浅い寛骨臼。
   4,医原生の病因:幼若時の大腿骨骨折に対する不適切な固定処置。
 
    ☆レッグペルテス病 
  レッグペルテス病(他の名称として嘘血性大腿骨頭壊死症,legg-calve perthes disease,若年性
骨軟骨炎,扁平股などで知られる。)は,一般にトイ種および小型犬種に起こる大腿骨頭および頸部の
無菌的壊死症である。通常,外傷などの経歴なしに突然の進行性跛行および激しい疼痛を示す。雌雄に
罹患率の差はなく,臨床症状は4〜11ヶ月齡に発現する。通常,片側性に生じる事が多く,両側性に発症
したものは,15%程度であると報告されている。
   ◇原因
  明確には確認されていないが,以下のものが原因として考えられている。
1,血管説:成長板が閉鎖する前は骨端と骨幹端の血液供給が吻合もなく別々であり,
   何らかの原因で骨端の血液供給が阻害され梗塞が起こり,嘘血が生じる。
2,ホルモン説:小型犬で早期に性ホルモンの産生が起こり,成長ホルモンの作用に拮抗し,
    成長板早期閉鎖を引き起こす。さらに性ホルモンが骨芽細胞を活性化し,広域な骨端の
      骨小柱形成を起こし,これが骨盤腔の血管を圧迫して嘘血を生じる。
 
    ☆肘形成障害  
  若齡の大型犬種に多発する肘関節を侵す疾患として上腕骨内側顆の離断性骨軟骨炎
(osteo-chondritis dissecans;OCD),鉤状突起離断症(fragmented coronoidprocess;FCP),
肘突起癒合不全症(ununited anconeal process;UAP),および肘関節整列不全症があげられている。
これらを合わせて一般に肘形成障害と呼んでいる。
1,上腕骨内側顆の離断性骨軟骨炎
   軟骨内骨化の異常から起こると考えられており,病因ははっきりと解明されていないが,初期病変は
   関節軟骨深部の軟骨細胞壊死がみられる。後には軟骨が軟骨下の骨から分離し,この部分では
   軟骨がはがれるような形で,軟骨弁が形成されたり,あるいは完全に分離してみられる。この分離
   した軟骨はいわゆる関節鼠となる。鉤状突起離断症と併発してみられる事が多い。好発犬種は
   ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー,ジャーマン・シェパード,ロットワイラーであるが,   
     ほとんどの大型犬種 で発生がみられる。
2,鉤状突起離断症
  尺骨滑車切痕の遠位側に存在する内側鉤状突起が分離してしまう状態で骨軟骨症が異なった形で
   現れたものと考えられている。好発犬種は離断性骨軟骨炎で多発するものと同様である。
3,肘突起癒合不全症
  肘突起と近位尺骨骨幹端との間にある成長板は通常,生後4〜5ヶ月で癒合するが,それが,
   閉鎖しない,あるいは癒合が遅延するために肘突起癒合不全が生じる。この疾患は,同一系統の犬
   あるいは成長の早いものに発症する傾向にあり,特にジャーマン・シェパード,セント・バーナード,
   グレート・デン,ラブラドール・レトリーバーにもみられている。
4,肘関節整列不全症
  鉤状突起離断症や肘突起癒合不全症に伴って発生する事が多い。この疾患は橈骨骨頭の関節面と
   外側鉤状突起の整列が悪いために,上腕骨内側顆の関節軟骨が障害を受ける。             
 

             
犬の診療最前線・interzoo より 

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