☆特発性咀嚼筋炎(萎縮性筋炎)
  咀嚼筋群(咬筋・側頭筋・翼突筋)における原発性・限局性の炎症性疾患で,頭部筋肉の対称性
または非対称性の萎縮を特徴とする。ジャーマン・シェパードに発生が多いといわれたが,最近の
報告では小型犬種にも発生がみられる。好発犬種の区別はない。四肢の筋肉にも病変のみられる
好酸球筋炎や非対称性の咀嚼筋の萎縮,眼球および側頭窩の陥没が特徴的な咀嚼筋の神経性萎縮
とは区別される。
   ◇原因
 現在のところ原因は不明であるが,以下の点が疑われている。
 1)免疫介在性の病因(自己免疫性疾患)
 2)ある種のウィルスの咀嚼筋への限局性二次感染
 
    ☆多発性筋炎 
  全身性炎症性筋炎であり,骨格筋の障害による脱力,運動不耐性,硬直などを主徴とし,急性または
慢性の発現がみられる。犬種,年齢,性別による好発性はない。
  ◇原因
  十分に解明されていないが,病理組織学的に免疫系細胞が多くみられる事,免疫抑制療法に反応する
ことから,自己免疫系の病因が疑われている。
 
    ☆脊椎の骨折 
  交通事故,闘争,落下,銃撃による損傷などの原因から脊椎の骨折,脱臼,亜脱臼が生じる。
脊椎の骨折や脱臼はどの部位にも起こる。脊椎骨折や脱臼は脊椎の伸展,屈曲,捻転,圧迫
により起こり,骨折を生じる地からの種類,脊椎の安定性により以下のように分類される。
   1)屈曲性骨折:脊椎の過度の屈曲
   2)伸展性骨折:脊椎の過度の伸展
   3)圧迫骨折:脊椎の過度の屈曲と長軸方向からの負荷
   4)横骨折:あらゆる外力が原因となり棘突起,横突起,推弓板,推弓根で生じる
  また,屈曲と捻転力が作用すると脊椎骨の変位が起こり,変位の状態により亜脱臼,脱臼,
脱臼骨折に分類される。脊椎外傷には病態生理学的に一時的脊椎損傷と二次的脊椎損傷がある。
 1,一時的脊椎損傷
  振盪,圧迫作用により,軽度の機能障害,構造変化から不可逆性の機能不全までさまざまな変化を
    生じる。
 2,二次的脊椎損傷
  一時的脊椎損傷に引き続いて起こり,脈管性,生化学性,電解質性の影響が原因となる。
 1)脈管性:急性脊椎損傷に引き続いて出血や微小血管への障害が生じ,これらに
   より血管痙攣,血栓等が起こり,脊椎の血流量を減少して,二次的損傷へ伸展させる。
 2)生化学:障害部分での脊椎血流量減少と低酸素症により多くの生化学的変化が
   生ずる。これらは酸素遊離基の産生を引き起こし,リポ蛋白に結合した不飽和
   物質の多い細胞膜を破壊し,脊髄に対し不可逆性変化を生じさせる。
 3)電解質性:脊髄損傷に関連してみられる変化として,カルシウムイオン流入により,
     微小血管痙攣が生じる。また,カルシウムイオン流入に伴って,細胞外カリウム
     の増加および細胞壁のナトリウム透過性が増大し,虚血性変化が促進される事が知られている。
 
     ☆骨癒合遅延  
  骨折後,治癒するまでの時間は骨折部位,骨折のタイプ,患犬の年齢・身体一般状態,骨折修復法など
により大きく異なる。骨癒合遅延とは,予想される治癒期間が経過しても骨折端に正常な癒合が起こらず,
化骨もかなり遅延するものをいう。つまりのものとして考えられている。
   ◇原因
 医療的素因が発症の原因となる事が多く,骨癒合不全,偽関節も同様な原因が継続した結果起こる。
1,骨折部位の不十分な固定(内固定用金属の緩み),骨吸収,仮骨形成ノ増大,偽関節
  は骨折片同士,または骨と内固定金属間の動きにより起こる。
2,骨片間の大きなギャップ(軟部組織の嵌入)
3,骨の喪失(手術中の骨片の除去)
4,周囲組織の血管損傷(骨への血液供給の喪失)
5,骨折修復後の早過ぎる運動再開
6,骨折部位の感染・火傷
7,老齢,
8,栄養失調
9,全身性疾患                                 
 

                 犬の診療最前線・interzoo より 

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