☆脳炎  
  脳炎は脳組織の炎症である。全ての年齢の犬で発症し,徴候は通常進行性である。
感染によるものが多いが,肉芽種性髄膜脳炎, パグ脳炎など特発性のものもある。犬ジステンバー,
狂犬病ではワクチン接種後に発症する場合もある。
  ◇感染性脳炎
  ウィルス,真菌,細菌,リケッチアなどの感染性の病原体により引き起こされる急性発症の
神経系疾患であり,徴候は通常進行性である。感染性病原体は近隣組織の感染拡大により
血行性に中枢神経系に侵入し,感染微生物による神経組織の直接破壊,血管炎による虚血,
浮腫,炎症細胞のもたらす有害作用など,さまざまな作用により神経障害をもたらす。
  ◇肉芽種性髄膜脳炎
  肉芽種性髄膜脳炎は脳血管周囲に網内系細胞が原発性に増殖するが,その原因は不明である。
小型犬種が最も罹患しやすく行動の変化,発作などさまざまな脳神経障害が認められる。この疾患は
他の脳炎や進行したものでは腫瘍との鑑別がつきにくい。コルチコステロイドにより,一時的な症状の
改善が認められる場合もあるが,進行性経過をたどる。
   ◇パグ脳炎
 原因不明の脳炎が6ヶ月齡から7歳齡のパグに認められる事がある。抗痙攣薬に対する反応の乏しい
進行性発作が一般的である。遺伝性または家族性の素因が疑われている。
   ◇犬の感染性脳炎の原因による分類
  ウィルス性:犬ジステンバー,犬伝染性肝炎,狂犬病,オーエスキー病。
  真菌性:ブラストミセス症,クリプトコッカス症,ペーシロマイセス症,クラドスポリウム症。
  リケッチア症:エールリッヒア症。
  原虫症:トキソプラズマ症,エンセファリトゾーン症,トリパゾーマ症,バベシア症。
  細菌性:ブドウ球菌,レンサ球菌,パスツレラ,アクチノミセス,ノカルジア。
  
    ☆てんかん
  てんかんとは,臨床的にも病理的にも原因が不明な発作が,特発的に反復する症候群である。
遺伝的因子が証明されている犬種として,ジャーマン・シェパード,ビーグル,キースホンドなどがあり,
発生率の高い犬種としてミニチュア・プードル,スタンダード・プードル,コッカ-・スパニエル,
ゴールデン・レトリーバー,ラブラドール・レトリーバー,アイリッシュ・セッター,
ワイアヘアード・フォックス・テリア,シベリアン・ハスキー,ボーダー・コリーなどがあげられる。
発症年齢は1〜5歳齡であり,雄は雌に比べてわずかに発症率が高い。
  ◇発作の原因による分類
先天性疾患:先天性水頭症,門脈シャントによる,肝性脳症,一次性てんかん,リソソームの蓄積症,
脳回欠損,血管奇形,代謝性疾患:低血糖症,低カルシウム血症,末期肝疾患による,肝性脳症,
尿毒症,低酸素症,赤血球増多症,高リポ蛋白血症,腫瘍:原発性脳腫瘍,転移性脳腫瘍,
栄養障害:チアミン欠乏症,炎症性疾患:犬ジステンバー,ウィルス,狂犬病,オーエスキー病,
細菌性脳炎,真菌性脳炎,原虫性脳炎,リケッチア性脳炎,寄生虫性脳炎,肉芽種性脳炎,
パグ脳炎,中毒:鉛,有機リン,エチレングリコール,ストリキニーネ,外傷:頭部外傷,血管障害:虚血,
血栓栓塞性疾患,出血
 
   ☆ウォブラー症候群
  大型犬の成長期に生じる頸推の形成異常や関節異常による頸部脊髄圧迫を示す疫病である。
同義語として頸部脊椎症,頸部脊椎すべり症,頸部脊椎不安定症,頸部脊椎形成異常・関節異常
などがある。この疾患は推弓板の奇形,黄色靭帯の肥厚,関節周囲組織の肥厚により脊柱管の
狭窄が起こる状態である。また推体や終板の奇形による二次的変化により椎間板異常や脊柱管
への突出が起こり,脊髄を圧迫することにより,神経学的な機能障害が起こる。明確な病因は不明
であり,多くの因子が関与していると思われる。可能性のある原因に不適切な栄養,遺伝的要因,
急速な成長,外傷などがある。ウォブラ-症候群は脊柱管の圧迫病変部位などにより次ぎのように
分類される。@慢性変性椎間板疫患,A黄色靭帯疾患,B砂時計型圧迫(@とAの両方),
C先天性骨奇形,D推骨すべり症,                                             
 
          犬の診療最前線・interzoo より 

inserted by FC2 system