☆多発性骨髄腫
形質細胞が骨髄を主病巣として腫瘍性増殖する疾患を骨髄腫という。病変の広がり,増殖様式により
多発性骨髄腫,びまん性骨髄腫,孤立性骨髄腫,形質細胞性白血病,髄外性形質細胞腫などがあり,
多発性およびびまん性のものが最も多くみられ,多発性骨髄腫は骨髄腫の総称として用いられている。
この疾患は免疫グロブリンのモノクローナルな産生を特徴とする。この免疫グロブリンは犬では主にIgGか
IgAである。免疫グロブリンH鎖よりL鎖の方が過剰に産生されることが多く,これがモノマーかダイマーの形で
 

血中に分泌され,ベンス・ジョーンズ(BJ)蛋白と呼ばれる。この蛋白は分子量が小さいため腎糸球体を容易に
通過でき,ベンス・ジョーンズ蛋白尿を引き起こし,尿細管の障害を起す。多発性骨髄腫の臨床所見は
多彩で次ぎのようなものが見られる。
 1,腫瘍細胞の骨髄浸潤に伴う骨髄癆による血球減少症。
 2,腫瘍細胞が分泌する破骨細胞活性化因子(OAF)による骨融解に伴う疼痛や骨折,
    高カルシウム血症,ALPは通常増加しない。
 3,ベンス・ジョーンズ蛋白および高カルシウム血症による腎不全。
 4,M蛋白による血小板機能や凝固系の障害に伴う出血傾向。
 5,高分子量の免疫グロブリンによる高粘稠度症候群に伴う中枢障害や循環障害,
   これはIga型でみられるが,IgG型ではみられない。
 6,全身性のアミロイド−シスを合併する事が多く,これはL鎖がアミロイド線維の構成
成分になるためと考えられている。
 
      
      ☆マクログロブリン血症                                          
マクログロブリン血症はIgM産生細胞の腫瘍性増殖を主態とする造血噐疾患である。形態学的,
免疫学的には慢性リンパ性白血病と骨髄腫の中間に位置付けられる。臨床症状は腫瘍細胞の浸潤による
肝脾腫,リンパ節腫大,貧血などとM蛋白による高粘稠度症候群やニューロパシ−,腎障害(骨髄腫に
比べまれ),出血傾向などが認められる。
 
      ☆モノクローナルガンモパシー  
   1つのクローンの形質細胞が増殖し,均一な免疫グロブリンを産生する。このような単一クローン性
免疫グロブリンをM蛋白またはM成分と呼びM成分がミラレル状態をモノクローナルガンモパシ−
(単クローン性高?‐グロブリン血症)と呼ぶ。M成分は血清蛋白電気泳動では免疫グロブリン領域に幅の
狭いMスパイクとしてみられる。モノクローナルガンモパシ‐を来す疾患には骨髄腫,マクログロブリン血症,
H鎖病,良性単クローン性高?‐グロブリン血症,アミロイド‐シス,一部のB細胞タイプのリンパ腫や慢性
リンパ性白血病(CLL)などがある。良性単クローン性高?‐グロブリン血症は血中にはM蛋白は認められるが,
骨髄腫やマクログロブリン血症のような悪性所見がみられないものの総称である。      
 
 
 
          犬の診療最前線・interzoo より  

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