☆血小板減少症 
  単位容積あたりの抹消血液中に存在する血小板数が正常よりも減少している状態である。血小板減少の
機序には@血小板産生の障害,A血小板の分布異常,B血小板の破壊亢進,C血小板の消費増大の
4つの要因がある。
  ◇原因
  1,血小板産生の障害
   1)骨髄巨核球の減少
     a)薬剤による骨髄低形成(エストロゲン,抗癌剤,抗生物質,抗痙攣剤,サルファ剤,
       フェニルブタゾン,サイアザイドなど多数)
     b)特定の感染症(慢性エールリヒア症)
     c)腫瘍の骨髄浸潤による形成不全
     d)放射線照射による骨髄の低形成
   2)血小板の分布異常
     a)脾腫,脾捻転,脾腫瘍,
     b)肝腫,肝疾患,門脈圧亢進症
     c)エンドトキシンショック,低体温症,
   3,血小板の破壊または利用の亢進(血小板寿命の短縮)
    1)免疫機序によるもの
     a)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
     b)自己免疫性溶血性貧血(AIHA,Evans型)
     c)全身性エリテマトーデス(SLE)
     d)リウマチ様関節炎
     e)血小板抗体産生を誘発する薬剤(キニジン,ジギトキシン,クロロチアジド,ペニシリン,
         アンフェタミン,フェノバルビタール,フェニトイン,フェニルブタゾン,ジフェニルヒダントイン,
         サルファ剤,生ワクチンなど多数)
     f)感染症(特に敗血症)
     g)同種免疫または新生子血小板減少症
    2)非免疫機序によるもの
     a)血栓形成による消費(DIC)
     b)重度感染症(犬エールリヒア症,ロッキー山紅斑熱,犬糸条虫症,)
     c)微小血管障害(血管肉腫,肝癌,血管炎など)
     d)生ワクチン接種 
 
     ☆骨髄性白血病
  骨髄性白血病には急性骨髄性白血病(AML)ト慢性骨髄性白血病(CML)さらに好酸球性白血病,
好中球性白血病などがあげられる。AMLは骨髄,単球,赤芽球系の未成熟な幼若細胞が腫瘍性増殖する
もので,それ以降の成熟が停止し,いわゆる白血病裂孔がみられる。FAB分類のM1〜M7がこれに
含まれる。(前項参照)CMLは骨髄および末梢血中において骨髄芽球から成熟好中球までが腫瘍性に
増殖する疾患で,成熟停止はみられず,各細胞はピラミッド型に分布する。
 
     ☆リンパ性白血病
  リンパ性白血病には急性リンパ芽球性白血病(ALL),前リンパ性白血病,慢性リンパ性白血病(CLL)
などがある。急性リンパ性芽球性白血病はFAB分類(白血病の項=P.455=参照)ではL1,L2,L3に
相当する。犬ではL2がほとんどである。慢性リンパ性白血病は成熟リンパ球が末梢に多数出現するもので,
通常無症状のことが多いが,IHAや低?‐グロブリン血症を伴うことが多い。 
 
    ☆肥満細胞性白血病 
  肥満細胞腫のうち肥満細胞が末梢血中に多数認められた場合に肥満細胞性白血病と呼ばれる。
しかし白血病の定義からするとこの用語はふさわしくなく,最近では肥満細胞症と呼ぶべきであると提案
されている。明らかな皮膚病変があり,末梢血中に肥満細胞がみられるものは肥満細胞血症と呼ばれる。
肥満細胞症は犬より猫でよくみられ,内臓型,特に脾臓の肥満細胞腫瘍で認められる肥満細胞血症と同じ
ものを指していると考えられる。
 
 
 
            犬の診療最前線・interzoo より 

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