☆口唇裂,口蓋裂及び口蓋欠損 
  口唇裂は、上唇が上唇溝,あるいはその片側または両側で不連続となる。ウサギは上唇が上唇溝にある深い
溝で完全に分けられているので、口唇裂を兎唇と呼ぶ事がある。口唇裂は、硬口蓋〜軟口蓋が正中で癒合して
いない状態。口蓋骨も正中で左右に分離している事が多い。切歯骨と硬口蓋が分離している事もある。
   ◇原因
   1.先天的(発生異常):口蓋裂は、発生約3週目で内側鼻突起と上顎突起の癒合不全により発生する。
     口蓋裂は発生約3週目に一次口蓋(切歯骨に当たる)と左右の口蓋突起の癒合不全により発生する。
     両者が同時に発生する事もあり、その時は口唇・口蓋裂となる。破裂の程度は癒合不全の程度によって
異なるが、通常やや前方の一次口蓋との癒合から発生するので、重度のものほど硬口蓋から軟口蓋にかけて
郊外全体に破裂がみられる。
  この場合不全は短頭種,特にブルドッグでは口腔の横幅に比して口蓋突起が短すぎて左右が寄り切らずに
欠損をつくるので、これらの犬種に好発するとされている。しかし、口蓋突起の伸張と癒合はまったく独立した
発生過程であるために、遺伝的要因より環境要因によるところが大きく、催奇形性物質の影響(コルチコ
ステロイド,ビタミンA過剰,葉酸欠乏,グリセオフリビン)や機械的圧迫などによって発生する事がある。
家族的に発現する例は報告されていないので、短頭種であるか否かにかかわらず、癒合不全の形質が
継承される確率は少ないと考えられる。しかし、その環境要因が他の構造に影響を与えていることも考えられる
ので、飼育および繁殖には注意を要する.
    2.後天的:交通事故,その他の外傷,電気コードの咬傷(火傷),腫瘍の切除などによって口唇や口蓋に
         欠損が生ずることがある。歯周疾患で上顎歯の口蓋側に激しい骨吸収が起こると、口蓋骨および
          上顎骨に欠損が生じ、口腔と鼻腔や副鼻腔を隔てる壁が一部欠損することがある。
              (口鼻瘻管の形成に伴う口蓋の欠損)。
 
      ☆軟口蓋過長
   軟口蓋は、硬口蓋から尾側に伸びる口蓋骨に裏打ちされない帆状の軟組織で、咽頭尾部と咽頭後部の
境界、喉頭蓋の上方に位置する。中頭種では通常長さ6cm,幅3cm,厚さ5mmである。軟口蓋が通常よりも
長いと喉頭への気道を塞ぎ呼吸困難を発生させることがある。特に極端な短頭種では口蓋帆が1cm以上尾側に
位置することがあり、さらに軟口蓋が長ければ気道の閉塞は回避できない。
 
      ☆扁桃炎
   扁桃は咽喉頭部に位置する中枢リンパ組織であり、リンパ小節の集合体からなる。口と鼻から侵入する
細菌を防御する働きを持つ。扁桃炎は主にレンサ球菌,ブドウ球菌,肺炎菌によって起こる扁桃の炎症であるが
、咽頭炎との併発の場合が多い。
  一次性の扁桃炎は若い小型犬に多いが、これは咽頭の防御機構が正常に発達していることを意味する
ものと考えてもよい。通常は二次性の扁桃炎が多く<慢性鼻炎や他の呼吸器感染,あるいは慢性の嘔吐や
咳嗽といった他の基礎疾患に続発する。骨や針など異物の刺入が原因することもある。症状は扁桃の発赤,
腫脹であり、中には炎症性滲出物に覆われた状態がみられることもある。その他発熱,咽頭部の圧痛,
嚥下困難,元気消失,食欲不振,咳嗽など一般症状が認められることもある。
 
      ☆喉頭浮腫
   喉頭水種ともいう。暑さや過剰興奮によって著しい浅速呼吸が続くと、喉頭の運動が過剰反応を起こすため
浮腫病変が発現するといわれている。パグやイングリッシュ・ブルドッグなどの短吻種で肥満の場合には要注意
となる。またアレルギーや殺虫剤中毒が原因することもあるとされている。症状は耳障りな浅速呼吸,呼吸困難,
チアノーゼなど、他の喉頭虚脱や麻痺といった閉塞性疾患と類似するが、一般的には急性であり、突発することが多い。
 
      ☆喉頭炎
  喉頭粘膜の炎症で、原発性の疾患は少なく、おおむね鼻炎,口内炎,咽頭炎,扁桃炎,気管支炎など近隣の
組織の炎症に伴うことが多い。最も一般的な原因としては、上部気道感染を引き起こすウィルス(犬ジステンバー
ウィルス,アデノウィルス)や細菌などの微生物があげられる。その他、誤嚥性の異物や機械的・化学的刺激,
あるいは気管チューブの挿入などによる医原性の外傷が原因することもある。また犬では、原因不明
(免疫介在性?)の慢性増殖性喉頭炎も報告されている。原因によって全身症状は異なるが、咳を主徴として
発熱,食欲不振,嘔気,呼吸困難,喘鳴,嗄声などを呈する. 
 

                       犬の診療最前線・INTERZOO より    
                   

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