☆腎盂腎炎  
  腎盂を中心として,腎実質,腎杯の細菌感染による化膿性炎症性病変を生じる疾患である。
   ◇原因
 直接的な原因は細菌感染である。腸管,尿道,膣由来のグラム陰性菌によることが多く,ほとんどが
E.coliである。再発を繰り返すものや,慢性腎盂腎炎を呈している症例においては,E.coli以外の細菌に
起因している場合や,複数の細菌による感染を受けているものも少なくない.
  ◇感染の成立とその誘因
 1,上行性・下行性感染,または周囲臓器感染巣からの波及この中でも上行性感染が最も頻度が高く,
    そのほとんどが膀胱炎からの波及である。(遠位尿路に細菌感染を起こしている場合の膀胱尿道反射は,
     細菌を腎臓に達しやすくする。)
 2,尿のうっ滞
   尿石症,尿管狭窄,尿管拡張,膀胱尿管逆流現象,尿路系の圧迫(腫瘍,前立腺肥大),
    神経性排尿障害(馬尾症候群など)。腎盂腎炎には腎結石を伴う事が多いが,これが原因か結果は未だ
      不明である。
 3,糖尿病,栄養不良などの消耗性疾患,腎石灰沈着による腎臓,全身の感染抵抗性の減弱。
 4,犬伝染性肝炎ウィルスの感染は,E.coliに対する抵抗力を減弱させて腎盂腎炎の発症を促進する。   
5,腎髄質自体の易感染症(腎髄質は浸透圧が高く,顆粒球が十分に機能できない。
    また,髄質組織は血流が緩慢なため内因性,外因性抗菌物質の輸送が損なわれやすい。
 6,ステロイド剤,抗腫瘍剤,免疫抑制剤などの投与,反復導入,カテーテルなどにより医原生の誘因を
     つくってしまううことがある。
 
      ☆泌尿器系の腫瘍                                                  
腎臓,尿管,膀胱,尿道にできる腫瘍。
1,腎腫瘍
  原発性腎癌は非常に少なく,ほとんど転移癌,上皮性悪性腫瘍である。雌のジャーマン・シェパードに
   遺伝性と考えられる皮膚線維症,子宮ポリープ,腎嚢胞腺癌が併発する症候群がある。
2,尿管の腫瘍
  原発腫瘍は非常に少なく,腎臓,膀胱,後腹膜の腫瘍に併発する場合が多い。
3,膀胱腫瘍
  泌尿器系の腫瘍では最も多いが,腫瘍全体の1%以下にすぎない。自然発生以外の原因として
  さまざまな薬剤,特にシクロホスファマイドによる移行性上皮癌,その他の代謝物質による発生が
  報告されている。悪性の腫瘍がほとんどであり,最も多いのは移行性上皮癌,次いで扁平上皮癌,
  腺癌である。また,良性腫瘍としては乳頭腫,線維腫などがみられる。移行性上皮癌の半数は他に
   転移病巣が観察され,転移部  位は局所リンパ節,肺である。まれな腫瘍として,原発性肉腫
       (線維肉腫,平滑筋肉腫,血管肉腫)がある。
4,尿道の腫瘍
  膀胱腫瘍により発生頻度は少なく,移行性上皮癌,扁平上皮癌が多い。
 
    ☆エストロゲン反応性尿失禁
  壮齢,老齢の卵巣除去した雌犬で,急速または睡眠中に内尿道括約筋の緊張が不十分なため尿失禁を
起こし,またそれが非神経 性の尿失禁で,膀胱,尿道に形態的な異常がなく,低用量のエストロゲン投与により
尿失禁が緩和される症候群。尿の漏出は散発的 に始まり量もまちまちであり,異常の頻度と程度は除々に
増す傾向にある.早期に避妊手術した犬に多く,手術方法(卵巣摘出または 卵巣子宮摘出)とは無関係に
生じる.また,手術時期と発症時期の間には相関関係は認められない。20kg以上の犬に多く,
ボクサー では高率に生じる.
 

              
 犬の診療最前線・interzoo より 

inserted by FC2 system