☆鼻炎  
  鼻の粘膜の炎症で、一般には急性かつ局所性に経過し、全身症状に至ることなく回復治癒する事が多い。
しかし、時には慢性経過をたどり副鼻腔や下部気道に炎症が広がることもある。また鼻炎は肺炎など
下部呼吸器疾患の前駆症状として認められる場合もある。症状としてはクシャミ,鼻汁,呼吸時の狭窄音,
ときには急性期の発熱,眼結膜炎など観察される。   
       ◇原因
     1.細菌感染(ブドウ球菌,レンサ球菌,大腸菌など):多くの場合、単発の局所性細菌性鼻炎は
        ごくまれといえる。
     2.ウィルス感染(犬ジステンバーウィルス,犬パラインフルエンザウィルス,犬ヘルペスウィルス,
          犬アデノウィルス2型など):多くはこれらのウィルス性疾患にともなう二次性の鼻炎である。
     3.真菌感染(主にアスペルギルス):長頭種で若齡〜中年齢層に多い。
     4.異物性(鼻腔内異物の項=P.14=参考)。
     5.外傷性。
     6.歯牙疾患:歯根膿瘍,上顎歯歯槽の鼻腔間瘻孔など。
     7.先天性,後天性口蓋裂(口唇裂,口蓋裂および口蓋欠損の項=P.18=参照)。
     8.新生物:良性ではポリープ,悪性では腺癌,扁平上皮癌が多い。                                                         
    ☆鼻腔内異物
  鼻腔内異物の大部分は外鼻腔内に吸入されたもので、その多くは植物の種子や芒(のぎ)あるいは
杉などの葉片、時にはエアガンの弾といったものがある。その他、鼻咽頭部から咳や嘔吐の際に小骨片や
木片などの異物が逆行性に後鼻腔内に侵入する場合や、食渣などが口蓋裂や上顎歯脱落後の歯槽の
鼻腔間瘻孔といった異常間隙から侵入する場合もある。症状は突然始まる持続性の激しいクシャミが
特徴的といえる。あわせて頸を振ったり鼻をかく動作が認められることが多い。
通常、異物は自然に排出され軽い炎症症状が2,3日残る程度であるが、異物が遺残するとクシャミと
鼻汁の分泌が持続することになる。なかには激しいクシャミのために鼻出血をみることもある。
この場合には二次性の細菌感染を併発し、膿性鼻汁など慢性経過をたどることが多い。
 
   ☆副鼻洞(腔)炎
  副鼻洞は鼻腔につながる頭蓋骨の骨洞で、副鼻洞炎に関与するものは上顎洞と前頭洞である。
長頭種と短頭種ではそのおおきさ長さは異なるが、およそ上顎洞は左右眼と頬骨の間に、そして前頭洞は
左右の眼と眼の間に位置すると考えてよい。その内面は嗅覚に関与する粘膜性骨膜で覆われている。
副鼻洞炎の多くは、慢性的な鼻炎や歯牙疾患など周囲の炎症性疾患が波及した結果認められる二次性の
ものであり、一次性の副鼻洞炎では外傷や原発性の腫瘍などがある。炎症による腫脹と分泌物の産生により、
鼻腔に通じる副鼻洞の開口部が閉塞され、副鼻洞内に分泌物が貯留し細菌などが増殖することになる。
おおむね慢性経過を取る事がおく、片側性あるいは両側性に悪臭のある粘稠度の高い鼻汁(膿性,出血性)が
観察され、クシャミや鼻塞音,時には呼吸困難を認めることもある。    
       ◇原因
     1.一次性,二次性細菌感染による慢性鼻炎からの続発
     2.歯牙疾患
     3.新生物
     4.真菌(主にアスペルギルス)感染
   ◇上顎洞炎
  上顎第4,5臼歯の歯槽骨膜炎など歯牙疾患が原因となる事が多い。この場合には、蓄膿によって上顎骨が
破壊されて皮膚に瘻管が形成される事もある。前頭洞炎上部気道の細菌,ウィルス感染やアスペルギルス性
鼻炎からの続発,外傷性,新生物などが主な原因として考えられる.
 
 
                              犬の診療最前線・INTERZOO より  
inserted by FC2 system