☆肝膿瘍  
  肝臓に病原菌が感染し膿瘍を形成する疾患である。犬の肝膿瘍は比較的まれな疾患であり、種々の
病原菌の感染により単発性 または多発性に膿瘍を形成する。その形成には非常にさまざまな因子が
関与しているが原因不明のものも多い。
  ◇原因
 化膿性肝膿瘍の病原菌としてはE.coli,klebsiella,proteus,Pseudomonas,ブドウ球菌,嫌気性菌などの
感染が認められているが、混合感染の場合もある。感染経路からいくつかに分類することができる。
     1)胆管を介し上行性感染するもの
     2)血行性に感染するもの
        a)経門脈性感染
        b)経肝動脈性感染
     3)隣接臓器カラ伝播するもの
     4)外傷により感染するもの
     5)原因不明のもの
  
     ☆銅性肝炎
  肝臓内に銅が異常に蓄積することにより怒る肝疾患である。銅は動物にはかかせない微量元素であり、
代謝機序には不明な点も 多い。食事性銅は胃腸から吸収され門脈へ運ばれ銅結合蛋白セルロプラスミン
として肝細胞内に移行し吸収された銅のほとんどが胆汁中に排泄される。各種の慢性胆汁うっ滞性疾患
では銅が肝臓内に多量に蓄積し、進行すると肝不全を起こす。べドリントン・テリアがヒトのウィルス病に
類似した症状を示し、遺伝性疾患として報告されて以来、ドーベルマン・ピンシェル,ウェスト・ハイランド・
ホワイト・テリア,スカイ・テリアの犬種にも銅蓄積肝障害が認められている。他の犬種にも報告されているが
遺伝性疾患であるか否かは未だに解明されていない。
 
     ☆特発性慢性肝炎 
  犬の慢性活動性肝炎は膵臓に半年以上炎症の病態が持続していることを意味し、原因がある程度
明らかになっている慢性活動性 肝炎と原因不明の特発性慢性活動性肝炎に分けて考えられている。
原因(遺伝性,感染性,薬物性など)の明らかな慢性活動性肝炎は以下の通りである。
   1)べドリントン・テリア銅蓄積性肝炎
   2)ドーベルマン・ピンシェル銅蓄積性肝炎
   3)ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア銅蓄積性肝炎
   4)スカイ・テリア銅蓄積肝炎
   5)レプトスピラ症による肝炎
   6)犬伝染性肝炎
   7)薬物性慢性肝炎
       a)鎮座薬(抗てんかん薬):プリミドン,フェノバルビタール
       b)フィラリア予防薬:ジェチルカルバマジン,オキシベンザール
       c)グリココルチコイド
 
  さらに原因不明の慢性肝炎の極めてまれな疾患として、小葉性解離性肝炎も報告されている。
 
    ☆閉塞性胆嚢疾患   
  肝臓で生成された胆汁は、肝内胆管から胆嚢に一時的に貯留・濃縮され総胆管を経て十二指腸に
排出される。この胆汁が何らかの原因で通過障害を起こすことにより発現する疫病で、胆内性と胆外性がある。
  ◇胆内性の原因
  1.胆石:胆汁がうっ滞したり、胆汁成分が変化して結晶化し結石となったもの。胆管内,胆嚢内,総胆管内
      などに形成される。主な成分は、胆汁酸塩,蛋白質,マグネシウムなど。犬に胆石症が滅多にないこと
       の理由は、犬の胆汁はコレステロールの濃度が低い。また、胆嚢からのカルシウムイオンの吸収が
        あり胆汁の遊離カルシウムイオンの量が制限される,などによる。試験的には、メチオニン不足の
        食事,あるいはタウリン不足で高コレステロールの食事で生じさせ得る。
  2.胆泥症:ヒトではコレステロール結石がほとんどだが、犬では、コレステロール結石はほとんどみられない。
      むしろ結晶化した結石にはならず、黒色化した胆泥として貯留していることが多い。
 3.腫瘍:肝内胆管,胆嚢,総胆管など,胆道系に発症したものによる。
  ◇胆外性の原因
 膵臓疾患:膵臓の浮腫や、膵臓の腫瘍などで胆道系が圧迫されることにより発症する。犬ではまれ。   
 

             
犬の診療最前線・interzoo より 

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