☆赤痢アメーバ症  
  赤痢アメーバ症の原因は、肉質鞭毛虫門,肉質虫亜門,根足虫上綱,葉状仮足綱に属する
Entamoeba histolytica で、主にヒト、まれに犬,猫などの哺乳類の大腸内に寄生する。
人畜共通伝染病として重要である。アメーバ赤痢ともいう。
  ◇寄生虫学的性状
   1.ヒトでは重要な寄生虫であるが、犬での発症例は少ない。
   2.栄養体は直径20〜30umと大型で、原形質流動によって形成される仮足により運動する。
            結腸内に片利共生するか、あるいは結腸壁内に侵入したときには肝臓,肺,皮膚,脳まで
                広がり病原性を示すかどちらかである。
   3.病原性を決定する要因はほとんどわかっていないが、E,historytica のストレイン,ある種の細菌の
       存在,宿主の免疫状態によるのかもしれない。
   4.感染は感染したヒトの糞便内で被嚢したシストを直接、経口的に摂取することにより起こる。
           シストは猫では認められず、犬でもまれである。つまり犬などの感染動物は栄養体のみ
           排泄するのがほとんどである。そのため犬の赤痢アメーバ症はほとんどがヒトからの感染である。
               ハエ,ゴキブリなどもシスト散布の原因となっていると思われる。
   5.栄養体には感染力はなく<主に感染者あるいは感染犬の下痢便中にみられる。
   6.病変はない場合もあり、また大腸の軽度のカタル性から重度な潰瘍性大腸炎までとさまざまである。
 
    ☆バランチジウム症 
  バランチジウム症は、本来、豚の大腸内に片利共生している大型の原虫であるBalantidium coli が、
  犬やヒトに感染することにより生ずる疾患をいう。犬の発症はまれである。
   ◇寄生虫学的性状
  1.絨毛虫類バランチジウム科に属する。
  2.トロフォゾイト’栄養型)は卵円形で、背面は腹面に比べやや膨隆している。長径50〜200um,短径
     40〜68umと大型で、体表には外膜がありその外側には縦列する線毛がある。内部には大核と
       小核が存在する。
  3.シスト(嚢子)は球形あるいは楕円形を呈し、直径45〜60um,薄膜に包まれ、内部に微細顆粒が
         みられる。大核が認められるが、小核は不明瞭である。
  4.赤痢アメーバ(E.histolytica)のように、B.coli のトロフォゾイトは結腸に寄生し、片利共生かあるいは
         病原性を示すかどちらかである。
  5.感染性シストが糞便内に排出され、それを直接、経口摂取することにより、感染が成立する。
  6.ほとんどが無症状であるが、中には潰瘍性大腸炎や壊死を伴う重度の大腸炎を起こすことがある。
         このため、食欲不振,沈うつ,水様性〜粘血性下痢,脱水を起こす。
  7.犬鞭虫(Trichuris unlpis)の混合感染が、B.coli の病原性に環よしているようである。
  8.サル類にも感染が少なくないため、サルからの感染の可能性もある。
 
    ☆犬コロナウィルス感染症    
 本病は、犬コロナウィルスによって起こる嘔吐・脱水・下痢を主徴とした急性伝染性腸炎である。
ウィルスが腸絨毛先端の粘膜上皮内に侵入することによって絨毛の破壊・萎縮・癒着が生じ、
それによって下痢を呈する。したがって症状は、腸絨毛の障害の程度によってさまざまな様相を示す。
本病は、ウィルスで汚染された糞便と接触することによって急速に伝染し、極めて伝染力が強い。
このため、他の個体も同時に発症していればコロナウィルス感染症(CCV)を疑うべきである。高い罹患率を
示すが致死的な疫病ではなく、対症療法によって予後は良好である。
 
    ☆サルモネラ症 
  サルモネラ菌は運動性のあるグラム陰性通性嫌気性桿菌である。血清型などにより約1700種に
分類され、一部は病原性を示し、犬やヒトで特に食中毒などの原因菌として知られ、嘔吐,下痢などの
症状を起こす。サルモネラ属は、哺乳類,爬虫類,昆虫などの腸に幅広く住み付き、いたる所でみられる。
無症状の犬からも頻繁に検出され、キャリアーとなっていると思われる。犬の糞便よりよく検出されるのは
S.typhimurium,S.anatum である。子犬や栄養状態の悪い犬などでは、 抵抗性,腸内細菌,
サルモネラ菌数などのバランスにより臨床症状を現す。 
 
               犬の診療最前線・interzoo より       

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