☆マンソン裂頭条虫症 
  マンソン裂頭条虫は、裂頭条虫科に属し,普通、犬,猫の小腸に寄生し、世界的に分布しており、
アジア地域に多い。感染は、第2中間宿主である両生類(カエルなど)・爬虫類(ヘビなど)・鳥類などの
採食により成立する。人体内で成熟することはまれであるが、プレロセルコイドによる全身臓器への
迷入により、さまざまな症状を引き起こす原因となる。
 
    ☆豆状条虫症  
  豆状条虫症は、円葉条虫目条虫科に属し、犬・猫を含む野生動物に多く認められ、中間宿主である
ウサギやげっ歯類を捕食することにより、小腸内に寄生する。本症は、世界各地で認められ,
日本では猟犬などに多い。
 
    ☆日本住血吸虫症  
 日本住血吸虫症は雄雌異体で、中間宿主であるミヤイリガイ(有蓋両性の小巻貝)体内で成長した
セルカリアが終宿主であるヒト・犬・猫・馬・豚・野ネズミなどに経皮的に感染し、門脈内に寄生する。
門脈内に寄生後、腸管の細血管で産卵するため、虫卵による塞栓が起こり周囲組織の破壊により、
腸管内に虫卵が排泄され糞便とともに外界に放出され再び感染源となる。また一部の虫卵は、
門脈より肝臓や脳に運ばれて障害を引き起こす。本症は糖なんアジアに多く分布し、日本では減少している。
発生はミヤイリガイが生息する広島県片山地方,甲府盆地,沼津地方,筑後川流域,利根川流域に限られて
いる。
                                      
    ☆コクシジウム症
  原虫類に属するコクシジウムによる主に消化器症状を呈する病体をいう。犬,猫のコクシジウム類
の分類には混乱がみられ、今現在は6つの属からなる。それは、@Isospora, ABesnoitia,BHammondia,
CSarcocystis,DToxoplasma、
ECryptosporidium であるが、今後新たな分類に再編成されることも予想される
ところである。犬のコクシジウムとしてわれわれ臨床家がよく遭遇する一般的なものはIsospora によるものをいう。
犬のIsospora には、4種のものがある。つまり、@I.canis,AI.ohioensis,BI.burrowsi,CI.heydorni 
である。イソスポラ(Isospora)は、一般的には終宿主である犬に対してあまり激しい症状を示すことは少ない。
しかし、時として幼犬にのみ症状が認められ、小腸にカタル性や出血性腸炎を起こし、水様便から粘液便の下痢,
嘔吐,発熱,食欲不振,可視粘膜蒼白,削瘻,衰弱などがみられる。
  ◇寄生虫学的性状
    1.ほとんどのコクシジウム(Coccidia)が片利共生か非病原性である。
    2.オーシストの形で排出されるものと、スポロシストの形で排出されるものとに大別されるが、
          後者の属するものとしてサルコスティス(Sarococystis)がある。それ以外は前者に属する。
    3.クリプトスポリジウム症は、近年、ヒトのAIDSや先天性免疫不全症患者に日和見感染を起こすとして
       重要視されてきた人畜共通感染症である。概略はX.その他の項を参照。
    4.通常、コクシジウム症といえばイソスポラによる疾患を指す。
    5.イソスポラのオーシストの形は卵形から楕円形で、
       I.canis(35〜45um×30〜35um)は大型,
       I.ohioensis(20〜25um×15〜25um),
       I.burrowsi(15〜22um×15〜20um)は中型,
       I.heydorni(10〜15um×10〜15um)は小型である。
    6.感染は汚染環境からの胞子形成(スポロシストを形成した)オーシストの経口摂取あるいは
          待機宿主(parateni host/transport host)を犬が食べることにより感染が成立する。
          直接感染が最も一般的であるが、多くの哺乳類が待機宿主になり得る。
    7.多くの子犬は感染しても無症状で、糞便中に多量のオーシスト(胞子未形成)を排出する。
      臨床症状が発現してしまう場合は、通常、新生子が多量のオーシストを摂取してしまったときや 
         狭い環境,不衛生環境,ストレスの多い環境になりやすいペットショップ,ケンネル,実験室など
          での感染が多い。併発症,栄養不良,免疫不全が素因となる。またストレインにより病原性が
            高いものもあるようだ。
    8.コクシジウム症の主症状は下痢で、軟便から水様便,ときには粘液便や血便を示す。その他、
       嘔吐,体重減少,脱水,傾眠がみられる。Isospore spp.は慢性吸収不良に関連していたという
        報告が時折ある。感染後3週間以上経過したものはほとんど自然に治癒する。  
   

                        
犬の診療最前線・interzoo より  

inserted by FC2 system