☆食道炎   
 食道炎はさまざまな原因により炎症を起こしている状態をいい、各種食道疾患の合併症として認められる
場合が少なくない。そのほか、上部消化器疾患の経過中に発生する場合もある。原因には以下があげられる。
    1)異物による接触刺激(食道梗塞,食道痙攣,食道狭窄,食道憩室,腫瘍などを含めて)
    2)胃液の逆流
    3)腐食性・刺激性科学物質
    4)温熱による障害
    5)血行障害(食道周囲部腫瘍の圧迫など)
    6)感染
  食道炎は以下に大別することができる。
    1)カタル性食道炎
    2)実質性食道炎
    3)フレグモーネ性食道炎
    4)食道周囲炎
 
    ☆胃食道逆流
  胃食道逆流は、胃液や十二指腸液あるいは飲食物が胃から食道へ逆流して食道粘膜に接する事により、
その結果として食道炎を併発する疾患である。正常な状態では、下部食道括約筋が胃から食道への食餌の
逆流を防ぐよう機能している。
  ◇原因
   1)全身麻酔:下部食道括約筋の圧が下がり、逆流が起こりやすくなる。
      また、手術時に頭部を下げた姿勢をとる場合も,逆流の一因となる。
   2)食道裂孔ヘルニア
   3)持続的な嘔吐
   4)下部食道括約筋の圧を変える何らかの因子の存在
   5)胃の排出障害
   6)腹圧の増加:腹水の貯留,肥満など。
   7)胸腔内陰圧の増加:上部気道閉塞,短頭種に多い。
   8)経鼻胃カテーテルや咽頭切開チューブの留置
 
   ☆食道憩室  
  食道憩室とは、食道壁の一部が小袋状,叢状に突出,膨大した状態(いわゆる憩室)をいう。その発生
原因により、圧出性憩室(食道内圧亢進によるもの)牽引性憩室(外部からの牽引によるもの)に大別される。
圧出性憩室は、先天的に気管芽の分離異常や食道の筋肉層の抵抗脆弱な部分が存在した場合,嚥下運動
による内圧上昇のため、その部分から除々に粘膜層が膨出したものである。また、食道の異常な蠕動や
食道内異物または食物の蓄積,血管輪による食道狭窄,閉塞が原因で内圧が亢進し憩室を形成すること
もある。一般に頸部食道の下部(胸腔への入り口の手前)と頬部食道の横隔膜の手前に好発し、前者は
血管輪,後者は異常な蠕動や異物によることが多い。牽引性憩室は、食道の周囲組織の炎症後の癒着や
線維化によって食道壁が引っ張られ、部分的あるいは叢状に拡張したものである。これは食道の気管分岐部に
好発し、憩室は小さいのが一般的である。
 
    ☆食道内異物  
  犬はときとしてかなり大きな異物を食べてしまうことがある。正常な食道はかなりの伸展性を有するが、
異物による閉塞は比較的よく起こる疾患といえる。また、放置すれば嚥下障害が続いたり、重篤な併発症を
起こす危険性がある。
  ◇原因:異物の誤飲
 
   ☆食道狭窄  
  食道狭窄は食道の内腔が細くなり狭窄を起こすものと、あるいは外部からなんらかの要因により圧迫を受け、
狭窄を起こすものとに分類される。
  ◇原因
  1.食道周囲組織の炎症や肉芽組織からなる食道周囲瘤による圧迫。
  2.頸部の腫瘍:甲状腺腫瘍,膿瘍による圧迫。
    胸部の腫瘍:リンパ腫縦隔型,心基底部腫瘍,転移性腫瘍による肺門リンパ節の腫大,
           原発性・転移性の肺腫瘍。
  3.食道炎や外科処置による瘢痕収縮で生じる狭窄。      
 

                  
犬の診療最前線・interzoo より  

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