☆洞性徐脈 
  1.洞不全症候群(洞房ブロックなど)に含まれる1つの病態である。
  2.洞結節性の除脈であり、洞結節から発生する興奮が少ない。
  3。心室性補充収縮がよくみられる。
   ◇原因
 1.迷走神経の緊張増大
 2.中枢神経系の疾患
 3.内分泌の疾患(アジソン病,甲状腺機能低下症)
 4.薬物誘因性:フェノチアジン系のトランキライザー,ジギタリス製剤,
   B-blocker,Ca-block-er,麻酔薬,リドカイン,キニジンなど
 5.洞結節あるいはその周辺の病変(虚血性変化,浸潤性変化,慢性炎症,
    原因不明の変性)
 6.著しい低体温
  通常、除脈そのものは臨床的な異常の原因とならないが、基礎疾患や治療上の問題を
反映していることがある。
     ☆房室ブロック  
  房室ブロックとは、心房と心室における刺激伝導障害のことである。その結果、P波(心房興奮)と
QRS波(心室興奮)のつながり、すなわちPQ間に異常を生じる。房室ブロックは、心電図上の特徴
により第1度,2度,3度に分類される。
   第1度:PQ間隔の延長がみられる。
   第2度:ときにP波とQRS波がつながらない。
   第3度:P波とQRS波がまったくつながらない。
第1度房室ブロック
   1.3タイプの中では最も軽度で房室結節をとおる上室性興奮の伝導速度の遅延
        (PR間隔の延長)が認められるもの。
   2.心房の興奮はすべて心室に伝導される。
   ◇原因
  1.薬剤誘因性:ジギタリス,B-blocker,Ca-blockerなど
  2.迷走神経緊張状態。
  3.心内膜炎,心筋炎,心筋症など。
第2度房室ブロック(MobitzT型)
  PQ間隔が除々に延長し、ついには房室間で伝導の途絶が生じるものであり、この周期を繰り返す。
   ◇原因
  1.迷走神経緊張:胸部,頸部の腫瘍,慢性肺疾患など。
  2.薬物誘因性:ジギタリス,トランキライザー,鎮静剤など。
  3.高カリウム血症。
第2度房室ブロック(MobitzU型)
 1.房室伝導時のPQ間隔は常に一定で突然房室伝導が途絶する。
 2.第3度房室ブロックに移行しやすい。
  ◇原因
 1.伝導系細胞の変性。
 2.房室結節,ヒス束,もしくは脚枝などの線維症を含む心疾患。
 3.心筋炎。
第3度房室ブロック(完全房室ブロック-Complete A-V block)
 
   1.心房から心室への興奮伝導がまったくない状態w@心室収縮は下位中枢によって
          行われているものをいう。
   2.心房と心室が独立して各々の周期でP波とQRS波が現れる現象を房室解離といい、
         完全房室ブロックもこの中に含まれる。
   ◇原因
  1.房室結節やヒス束や脚枝の線維化。
  2.心内膜炎,心筋症,腫瘍の浸潤,重度のジギタリス中毒に関連して起こる。
☆ショック  
  ショックとは血液組織循環が効果的に行われず、急激に生命の危機に陥る病態の総称である。
    本病態はさまざまな原因および
 
病態から移行し得るが、その基本的原因をあげると以下の3つに分類される。ただし、
この3つは単独で起こるばかりでなく、2つ以上が重複して起こったり、1つの原因で起こっても、
後に他の原因が重なって複雑化することが多い。
  ◇低血流性ショック
  血液または体液が失われ、循環血液量が減少するために起こるもので、出血,火傷,嘔吐,下痢,
および腸閉塞などが原因となる。循環血液量が減少すると、心臓への静脈還流が減少し、心拍出量が減少し、
血圧が低下する。それを圧受容噐が感知し、交感神経系が活性化され、心拍数の増加,心収縮力の増大,
小細動脈の収縮,脾臓の収縮(犬では全血液量の15%を脾臓が調節できる)抗利尿ホルモンの放出が起きる。
これらによってショック状態が回避されればよいが、代償できない場合は本症に陥る。この場合、脳,心臓の
血流は比較的確保されるが、それ以外の末梢循環血液量はさらに減少する。また膵臓が虚血を起こすと心筋
抑制因子(MDF)が放出され、心臓性ショックがこれに重なる。
  ◇心臓性ショック
  心臓が心臓内の血液を十分に駆出することができないために起こるもので、ヒトでは心筋梗塞が主要な
原因であるが、犬では僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症の代償不全期に多くみられる。そのほか、
緊張性気胸,大静脈閉塞,心タンポナーデ,低血流性ショック時のMFD放出なども原因となる。心拍出量が
減少するため低血流性ショックと同様の経過をたどる。ただし、初期には心臓への静脈還流は減少していない
ので、低血流性ショックとは逆に中心静脈圧(CVP)は上昇する。
  ◇血管性ショック
  細菌毒素,局所因子(ヒスタミン,ブラジニキン,セロトニン,プロスタグランジニンなど)や神経反射などに
よって末梢血管が拡張するために起こるもので、感染,敗血症,アナフィラキシ-(薬剤などによる),疼痛,
麻酔,妊娠,持続性の血管収縮(低血流ショックなどによる)などが原因となる。末梢血管が拡張し、そこに
静脈血がプールされ、さらに血漿が血管外に露出する場合もある。その結果、心臓への静脈還流が減少し、
心拍出量が減少し、血圧が低下する。それに対して交感神経系は活性化され心拍数および心収縮力は
増加するが、存在する血管拡張因子に打ち勝って、血管を収縮させることはできないことが多い。そのため
血管性ショックではほかのショックと違って四肢末端の皮温が低下しないものが多い。
 
                     .犬の診療最前線・interzoo より    

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